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キミは世界をその目で見たいか?だったらオープンソースのイベントに行こう!

今回のゲストブログは、Linux Foundation の日本オフィス代表の福安さんからです。Linux Foundation の役割とミッション、イベント活動などを紹介します。福安さんによれば、『Linux Foundation の最も重要なミッションは、ズバリ端的に申し上げると、「Linus Torvaldsを雇用すること」」だそうです。オープンソースへのイベント参加を含めての内容をご覧ください。(2015年02月02日)


 

どうもはじめまして!

私はLinux FoundationというLinux の普及促進を行なうNPOの日本オフィスの代表を勤めています、福安(フクヤス)と申します。

Linux Foundationの最も重要な役割は?


みなさんにとって、Linux Foundation というと『名前は聞いたことはあるけど、結局何やってるの?」というイメージなのかな、と想像します。実際私が国内のいろいろな企業さんに始めて伺うと、概ね『名前は良く聞いているのですが、、、(^^; 、、、』と言われます。


ズバリ端的に申し上げると、現在私たちにとって最も重要なミッションは「Linus Torvaldsを雇用すること」です。

 

仮にLinux Foundationが全ての事業を辞めて、一つだけ何かを残すとしたら、最後に残るのは、一点の疑いも無く、「Linusをオープンで中立的な場所で雇用し、Linuxカーネルの開発に専念させる」ということになるはずです。
LinuxにおけるLinusのように、オープンソースのコミュニティ開発において最終的な権限を持つ人物が、「中立的な場所で雇用され」て「100%コミュニティの開発に専念できる」ということが、Linuxカーネルというソフトウェアの成長にそれほど重要な意味がある、とご理解いただければよいかと思います。

もちろん、これからもLinuxというオープンソースが成長して行くためには、Linusを雇用するだけでは十分ではありません。

LF-topコミュニティに参加する開発者が増加する必要もありますし、またコミュニティの成果物であるLinuxカーネルを活用してビジネスをする企業が増える必要もあります。またその結果、企業がより多くの投資(含む開発者の投入)をコミュニティに対して行なっていくような流れを構築することも重要で、そのためにイベントを開催したり、ウェブやホワイトペーパーで情報提供を行なったり、トレーニングを行なったり、企業向けに戦略的なコンサルテーションを行なったりしています。

くわえて、Linuxはインターネット上で開発が進められますので、そのための開発インフラ(Kernel.orgやLKMLなどが有名ですね)が必要です。この世界中から絶え間なくアクセスがあり、かつ非常に高度なセキュリティが求められる開発インフラの運用を行なっているのも、実は私たちLinux Foundationです。

以上をざっくりまとめると、


私たちLinux Foundationはカーネル開発コミュニティをサポートし、大規模なコラボレーションを育み、Linuxの普及促進の活動を行っているNPOだ、


という表現が出来るのではないかと思います。

私(福安)はそんな組織の日本の代表をしておりまして、日本のメンバー企業様が、Linux Foundationという仕組みを活用し、Linuxをビジネス・製品開発に効果的に利用できるように、さまざまなサポートをしています。ひょっとしたらLinuxConなどのイベント会場で私の姿を見かけたことがある方もいらっしゃるかも知れませんが、LinuxConのようなイベントも企業がオープンソースやコミュニティの力を活用するための重要なツールの一つです。

さて、今回はそんなLinuxConを初めとするオープンソースの「イベント」に関してつれづれと書いていきたいと思います。

オープンソースのイベントに行こう!

皆さんに訴えたいメッセージは、とってもシンプルです。

「オープンソースのイベントに行こう!」

私たちLinux Foundationでは、ここ数年日本でも年1~2回のペースでイベントを開催しています。私たち以外でも、日本発のオープンソースであるRubyのコミュニティはRubyKaigiを、 RubyアソシエーションがメンバーであるRuby World Conference開催実行委員会がWorld Conference を毎年開催していますし、昨年はThe Open Web Application Security Project (OWASP) が東京でイベントを開催し、今年の10月にはついにOpenStack Summitが東京で開催されたりします。他にも、日本のHadoop ユーザ会も毎年大きなイベントを開催していますね。

LF-Chairperson私たち日本人は恐らく国としては世界で2番目(アメリカの次)に恵まれていて、世界中から参加者を集めて、コミュニティのコラボレーションの現場となるグローバル規模のイベントが非常に多く開催されます。

そして、これらのイベントこそがエンジニアの皆さんにとって、が日本にいながら体感できる真の「グローバル・ステージ」であり、会社を休んででも、お年玉を全部つぎ込んででも、参加する価値がある貴重な機会であると訴えたいのです。


オープンソースのイベントの価値:

一般的に「イベント」と言うと、もっぱら企業の新製品や、近未来のテクノロジーを紹介する、マーケティング的な要素の強い催しを想像するのではないかと思います。現に、Interop、ITPro Expo、CTEC、それにETなどはそのような位置づけのイベントです。昔、日本でも開催されていたLinux World もそうでした。

また、企業が主催するセミナーなどは、まさに企業のマーケティング活動そのものです。

一方で「オープンソースのイベント」のイベントは、上記のマーケティング的イベントとは異なるゴールを目指しています。

オープンソースのイベントは、世界中のコミュニティ開発者達が実際に会って、膝を付き合わせて課題を協議し、また信頼を醸成する場所なのです。

オープンソースのコミュニティは、一般的にはインターネット上の開発インフラ上で開発を行ないます。

普段は顔を合わせることも無く、電話で話をすることも非常に稀です。

だからこそ、(これは以外かも知れませんが)オープンソースのコミュニティにおいては、開発者同士の信頼関係が非常に重要視されます。

Linuxのカーネルコミュニティのリーダーで、Stable Kernelをメンテナンスしている Greg Kroah-HartmanLF-gregはよくこのような表現を用います。

“Community is the web of trust”

オープンソースのコミュニティは、ややもするとネット上にあつまり、非常に効率的かつ機械的に開発作業が進められているようなイメージがあるのですが、実はその作業は開発者間の深い信頼関係によって支えられているのです。

だからこそ、イベントのように開発者が実際に会し、お互いの信頼醸成を行なう機会が非常に重要になるのです。

 

 

 

コミュニティ開発に参加希望であれば、まずはイベントに行くべし!:


コミュニティが相互信頼性によって成り立っており、イベントが信頼醸成の場であるとすると、これからコミュニティ開発に参加したいと考えているエンジニアの皆さんが何をしなければならないかはもう自明ですね。


そう、オープンソースのイベントに行くのです!LF-comm

世界中から開発者が参加するようなイベントに行くのです!

そして、でき出来れば発表者として自分の技術や課題を参加者と共有してみてください。(もちろん言語は英語で!)


これまでできできなかったネットワークが構築できたり、自分では思いつかなかった解決方法が見つかるかも知れません。

Linux Foundation主催の主なイベント


私たちLinux Foundationでは世界各地で上記したようなコミュニティの信頼醸成を促すイベントを数多く開催しています。いくつか特徴的なものを紹介させていたきます。

LinuxCon & CloudOpen

毎年米国、欧州および日本で開催されているイベントです。LinuxConもCloudOpenも基本的には同じ日、同じ場所で開催されるので、基本的には同じイベントであると理解いただいて良いかと思います。(部屋は分かれていますが、参加者はどちらにも入れます)



LF-LinuxCon-reception世界中からLinuxカーネル開発者やクラウド関連技術の技術者が一堂に会して、主に技術的なトピックに関して発表&議論を行ないます。

発表者は一般的には「CFP (= Call for Participation) 」と呼ばれる発表者一般公募の仕組みから応募し、カーネル開発者、Linux産業リーダー、それにLFスタッフなどから構成される「プログラム委員」の審査を経て決定されます。

世界中から本当に多くの方がCFPに応募してきますので、一般的には非常に狭き門です。

だからこそ、LinuxConやCloudOpenのセッションの質は総じて高いですし、発表者として選ばれた方(選ばれたことがある方)は、結構イバってよいのではないかと思います。

Kernel Summit

Linuxのカーネルコミュニティにとって恐らく最も重要なイベントです。数千にものぼる世界中のコミュニティ開発者の中から、ほんの一握り(60名程度)が選抜&招待され、近い将来のカーネル開発の方向性に関して議論を行なうイベントです。日本からも毎年2~3名の開発者の方が招待されていますが、本当に名誉ななことなのです。LFイベントの画像

良く似たイベントで、Linux Storage, FIlesystem & MM Summit (通称MM Summit)というものがあり、このイベントでは特にその名の通りストレージ、ファイルシステム、およびメモリマネジメント分野のトップ開発者が招待され、向こう1~2年の実装に関する方向性などを協議します。

 

 

 

The Linux Foundation Collaboration Summit

LF-ColloaboLinux Foundationのメンバー限定の招待制イベントで、毎年サンフランシスコ近郊で開催されます。このイベントの特徴は、Linuxカーネルだけでなく、いろいろなオープンソースの「プロジェクト」のメンバーが集結し、ステータスアップデート的なことをする点です。今年(2015年)で言えば、AllSeen、SPDX、OPNFV、LTSI、Xenなどなど。

毎年このCollaboration Summitが1年の最初のイベントであることが多く、上記のようにいろいろなプロジェクトのレビューだとかアップデートがありますので、今年1年の業界の流れを概観することが出来て、個人的には一番気に入ってるイベントです。


Embedded Linux Conference

通称ELC。このイベントは、まさにその名のごとく、組込みLinuxの開発者が集まるイベントです。誰でも参加可能という点ではLinuxConやCloudOpenと同じなのですが、LinuxCon/CloudOpenと比べると、さらに技術に特化したイベントです。組込み開発に携わっている企業や開発者の方は、LinuxConよりもむしろこちらの方を重要視していることが結構ありますので、私もいろいろなプロジェクトに関連して、組込みのコアな技術者を集めて何かのプロモーションやワークショップ的なことをする場合は、このイベントを活用します。

LinuxCon/CloudOpen Japan 2015があります!


よし、イベントに行ってみよう!と心に火がついた皆さん。

今年、2015年6月3日~5日にかけて、LinuxCon Japan とCloudOpen Japanが東京で開催されます。

同じ日に同じ会場で開催されますので、Linuxやクラウド関連技術に関心がある方はぜひ参加してみてくだ下さい。

そして可能であれば、ぜひ英語で発表してみてくだ下さい!(2月12日まで発表者を募集していますます!)

世界のトップ開発者からフィードバックを貰ったり、友達になってしまったりする絶好のチャンスです。

また、LinuxCon JapanとCloudOpen Japanの直前には、同じ会場で Automotive Linux Summit 2015 も開催されます。自動車業界で活躍しているエンジニアが世界中から集まりますので、自動車業界にいるエンジニアの方にはこちらの方が面白いかも知れません。

また、急速にオープンソースの採用が増えている自動車業界での技術動向を確認する上でもとても貴重な機会です。

あと、自ら発表者するようなネタはないけれども、

ぜひ、LinuxCon/CloudOpen/Automotive Linux Summitに積極的に関わってみたい!

という方がいましたら、イベント運営ボランティアへの参加という手もあります。こちらはLinux Foundation JapanのFacebookページ(https://www.facebook.com/linuxfoundationjp)でもうすぐ募集を掛けますので、たまにチェックしてみてください。

LF-LinuxCon-vol

今回は、日本で開催される私たちLinux Foundationのイベントに関してのみの紹介でしたが、世界中で毎週なんらかのオープンソースのイベントが開催されています。それらをチェックして、もし可能であれば自ら海を渡り海外へ行ってみることもおすすめです。

LF-Linus特にアメリカで開催される有名なイベントでは、本当に世界中からたくさんの開発者が集結しますので、きっと皆さんが一度会ってみたいと思うような開発者が休憩時間にふらふらとロビーを歩いているはずです。

そんな場所にぜひ飛び込んで、自ら世界への扉をこじ開けてみてくだください!


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