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今、注目を集める企業向けのOpenStackプライベートクラウド SUSE Cloud 4 の特徴とは?

昨今、もっとも注目浴びているITテクノロジーの1つといえば、OpenStackといって間違いないだろう。各社のOpenStackへの取り組み、製品やソリューションもさまざまだ。 その中でも、ひときわユニークな特徴を持つ製品が、ノベル株式会社の提供するプライベートクラウドにフォーカスしたSUSE Cloud である。キーワードは、ミッションクリティカルとネットワーク。本稿では、その注目を集める背景と最新情報をノベルのキーパーソンに話を聞いた。

Novell社

SUSE Cloud に注目が集まる背景

羽田氏プロフィール画像ビジネスの変化に追従できるIT基盤の構築が成長の命運を握ることになる企業において、柔軟なIT環境を構築できるクラウドに対する注目がますます高まっている。クラウドというとパブリッククラウドがフォーカスされがちだが、企業内で利用されるプライベートクラウドも大きな成長を示している。ある大手調査会社のレポートによれば、2013年度の市場成長率が40%を超えたという。 その急成長を示すプライベートクラウド市場において、今、もっとも注目を集めているのが、OpenStackベースのエンタープライズ向けIaaS(Infrastructure-as-a-Service)プライベートクラウドソリューションSUSE Cloudだ。

その背景を「OpenStackを検討する企業にとって、真のエンタープライズ環境での要求を満たしている製品が、SUSE Cloudだからです」とノベルでSUSE Cloudを担当するSUSE事業部テクニカルセールスマネージャー 羽田勝治氏は、説明する。

「プライベートクラウドを検討するとき、話題を集めているOpenStackが検討に上がることが増加しています。これは、『話題になっているから、OpenStackを検討してみる』といった消極的な取り組みではなく、OpenStackを企業ITの刷新のためのチャンスにする。そして、今後のビジネス環境を見据え、企業成長を加速するITプラットフォームとして位置づけ、検討を開始した企業が増えています。そのような企業が、いち早く、プライベートクラウドにフォーカスしたOpenStackベースSUSE Cloud に興味を持ち、特に8月にSUSE Cloud 4をリリース後は、当社にお問合せが増えています」と続ける。

では、その注目を浴びるSUSE Cloud 4の具体的な特徴に迫っていこう。

SUSE のOpenStackへの取り組み

SUSE Cloud は、OpenStackベースに開発された製品だ。そのため、OpenStackに対するSUSEの取り組みから紹介することにしよう。

OpenStackは、オープンソースによるIaaSの開発プロジェクトで、2010年に米ラックスペースホスティングと米航空宇宙局(NASA)が公開したオープンソースがその出発点である。その後、このプロジェクトに興味を持った多くの世界中のエンジニア、企業がこのプロジェクトへの参加し、2012年には、 非営利団体OpenStack Foundationが発足。 OpenStackの開発とさまざまな権限がこの財団に移管された。

「SUSEは、OpenStack Foundationの現在8社しかいないプラチナ・メンバーとして参加、開発および普及に貢献しています。例えば、現在の議長であるアラン・クラークはSUSEの社員ですし、多数のエンジニアがOpenStackの開発プロジェクトに主要メンバーとして加わっています」と羽田氏は、SUSEによるOpenStackプロジェクトに対する取り組みを説明する。

OpenStackは、開発のスピードが早く、約半年ごとにメジャーバージョンアップが行われている。バージョン名には、いろいろな地名を使用しており、「Austin」「Bexar」「Cactus」…と、頭文字がアルファベット順に変わる。これらのメジャーバージョンをベースにして、OpenStackのコードはそのままに、SUSE Cloudは独自の機能をAdd-onとして付加し開発される。

SUSE Cloud 4の概要

SUSE Cloud 4は、2014年8月に発表された、(当時の)最新バージョンであるOpenStack(Icehouse)をベースに開発された最新のディストリビューションである。具体的にSUSE Cloud 4を見ていこう。

「SUSE Cloudは『複雑な手順の排除』『ネットワーク設計を不要に』『マルチハイパーバイザーのサポート』という3つのポリシーを掲げ」(羽田氏)、ベースとなるOpenStackに対してSUSE独自の付加価値を加えたものだ。

具体的には、複雑なOpenStackの展開を自動化するために、オープンソースソフトウェアCrowbarをベースとしたインストールフレームワークを搭載。さらに、このフレームワークにより、OpenStack の前バージョンからのアップグレードにも対応可能。また、ターゲットをプライベートクラウドに絞ることで、複雑なネットワーク設計は不要となり、高価なネットワークスイッチを極力排除することに成功している。そして、ハイパーバイザーには、KVM、Xen、Hyper-V、VMware vSphere というメジャーな仮想環境を正式にサポートする。

このポリシーを守りながら、「Icehouse」をベースに、分散ストレージシステムCephを完全サポートし、先進のVMware vSphere機能へのさらに対応を進め、エンタープライズ向けの利用を意識した、拡張性、自動化、可用性の機能を強化した製品がSUSE Cloud 4なのだ。

 SUSE Cloud 1

 

SUSE Cloud 4の特徴

まずは、エンタープライズ向けの機能から見ていこう。

「当社は、OpenStackをエンタープライズで利用する場合、大きく2つの確実に提供しなければならないことがあると考えています。1つはマルチハイパーバイザーのサポートです。今回、企業でシェアの高いVMware vSphere環境と連携強化しました。もう1つは、ミッションクリティカルな環境で利用できるようにすることです」と羽田氏は説明する。

SUSE Cloud 2

これまでのOpenStackでは障害対策が十分に施されておらず、現実的な解決策は提供されていない。そのため、ミッションクリティカルな環境には必須となる高可用性を担保するには、ハードウェアを実装するなど策を講じてきた。しかし、これだけでは十分ではない。現在のOpenStackのアーキテクチャには単一障害点(SPOF)が複数存在するためだ。 そこで、信頼性に高い評価がある商用LinuxディストリビューションSUSE Linux Enterprise を提供してきたノベルが、エンタープライズ環境で最高のプライベートクラウド基盤を提供できるように独自の付加価値機能を開発した。

SUSE Linux Enterpriseは、メインフレーム用Linux、SAP用Linux、そしてハイパフォーマンスコンピューティング用Linuxとして、グローバルでトップシェアを占め、極めて高いミッションリティカル性や高いパフォーマンスが要求される分野で非常に強いディストリビューションだ。ノベルは、その培った経験を元にして、サービス機能やネットワークの冗長化を実現した。

SUSE Cloudに、オープンソースのクラスターソフトウェアSUSE Linux Enterprise High Availability Extensionの各種コンポーネントを採用。これにより、x86サーバ上で稼働するミッションクリティカルなワークロードをシステム障害から保護できる基盤が整えることが可能になった。加えて、データベース、サービス、ネットワークの各グループのコンポーネントに対して、可用性(High Availability)を実装。現在サポートされているサービスは、次の表にあるとおりだ。

SUSE Cloud 3

データベースグループの冗長化構成には、共用ディスク型とデータ同期型の2通りの方法をとることができる。共用ディスク型では、アクティブスタンバイ構成でノード台数として最大32台までをサポート。データ同期型では、2台構成で冗長化を図る。

SUSE Cloud 4

サービスグループも冗長化構成には、共用ディスク型とデータ同期型の2通りの方法をとることができる。共用ディスク型では、アクティブアクティブ構成でノード台数として32台までをサポート。データ同期型では、2台構成で冗長化を図る。

SUSE Cloud 5

そして、特に、SUSE Cloudで特徴的な機能は、ネットワーク(Neutron L3 Agent)の冗長化を実現するものだ。構成は、共用ディスクなしの冗長化構成をとる。

SUSE Cloud 6

動作は次のようになる。ネットワークノードに「Neutron-ha-tool」エージェントを備えており、これが各ネットワークノードの負荷監視や死活監視を行う。このエージェントがAdminノードと常に連携を行うことで、ネットワークノードがダウンした場合に接続先ノード(仮想ルーター)を切り替えたり、ネットワーク負荷を分散したりすることができる。

SUSE Cloud 7

「これにより、商用Software Defined Network (SDN) が提供している機能をオープンな技術で実現し、ネットワークをスケールアウトできることが、SUSE Cloud4 の大きな特徴なのです」と羽田氏が強調する。

そのほかにも、注目のソフトウェア定義型ストレージソフトウェアCephをサポートすることで、コスト効果の高いオブジェクトストレージ環境を実現。SUSE Cloudのインストールフレームワークにより、Cephクラスタの自動的な構成・設定が可能。「これにより検索と処理を迅速に行いつつ、極めて拡張性が高く、復旧性に優れたイメージとオブジェクトのクラウドストレージを構築できます」と羽田氏。

また、VMware vSphere環境に対するサポート強化ポイントは、SUSE Cloudは既にサポートしているVMware vSphere コンピュートノード、VMware NSX ネットワーク仮想化、ブロックストレージ用のvSphereドライバに加えて、新たにVMwareのイメージ管理機能とソフトウェア定義型ストレージVMware Virtual SAN(VSAN)をサポート。羽田氏は、「VMware vSphere環境への連携を強化することで、エンタープライズ環境での導入が多いVMware vSphereへの既存投資を最大限活用できることになります」と、そのメリットを強調する。

このように、ミッションクリティカルとネットワークを考慮し、エンタープライズでプライベートクラウドを実現する機能を盛り込んだのが、SUSE Cloud 4なのだ

最後に

OpenStackという最新のテクノロジーを簡単にインストールから運用までをトータルでミッションクリティカル環境を実現し、さらに既存のIT環境への配慮も忘れないSUSE Cloud は、これからクラウド環境の導入を検討する企業にとって、最適なソリューションの1つであることは間違いない。

「SUSE Cloud 4は、高可用性機能の設定と展開を自動化する業界初のプライベートクラウドに特化したエンタープライズ向けOpenStackディストリビューションです。ぜひ、興味をもっていただけたならば、ノベル社あるいはサイオステクノロジーまで気軽にお問い合わせてください」(羽田氏)